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ドクターサポート通信

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診療所内感染予防対策

2010年冬、インフルエンザの流行シーズンに備え、厚生労働省から11月24日に「今冬のインフルエンザ総合対策」が公表されました。2009年冬は新型インフルエンザの大流行がみられましたが、厚労省は、今年も季節性インフルエンザと新型インフルエンザのいずれも流行する可能性があると警告しています。

また同年は、都内の大学付属病院で起きた多剤耐性菌による院内感染が原因で、十数人の感染者を出すというニュースもありました。この一件で明らかになった問題点は、院内に感染対策専従のスタッフが少なく、対策が後手に回ったことです。

大病院でもこの様な状態ですので、心配されている診療所も多いと思われます。
診療所で院内感染が一端発生してしまうと、事後の対応に追われるだけでなく、患者様から衛生管理が行き届いていない診療所というレッテルを貼られ、それまで築いてきた信頼を失くすという、経営の根幹を揺るがす事態になる危険性があるのです。

これを回避するために必要な事は、スタッフの意識付けとリスク管理の徹底に尽きると言えます。

多剤耐性菌の多くは接触による感染であるのに対して、インフルエンザは飛沫感染ではありますが、感染予防策には共通する事柄が多くあります。

ここでは、感染経路の遮断にとても重要な設備面の強化についてご紹介します。診療所で使用する器具や備品は、細菌が付着しにくく消毒や洗浄をしやすい素材のものを選びます。例えば、診療機材はディスポーザブル(使い捨て)製品を使用することが、最も容易な対策です。

ディスポーザブル製品にできない器具については、必ず消毒済みのものをその都度使用しましょう。オートクレーブが院内にない場合は、器具が二重で使用されない様に、診察時の導線も見直すことをおすすめします。

人の手が触れる事の多い待合の椅子などは、汚れにくく掃除しやすい素材や抗菌加工されている製品を選び、こまめに掃除をしましょう。床の清掃は、掃除機を使うのが一般的ですが、ホコリをまき散らすデメリットも考え、特に清潔さが求められる場所については高性能エアフィルターつき真空掃除機を使うことが望ましいです。

また『化学ぞうきん』などで拭き掃除をすることで、効果的に汚れや細菌を取り除くこともできます。

残留毒性や付着血液中の細菌は殺菌できないなどリスク管理面を考慮すると、広範囲に消毒剤をむやみに噴霧・散布することはできるだけ避けたいものです。湿度も50%以上を保つ様に心がけましょう。

また、待合室で患者同士が顔を合わせる時間や機会が増えれば、それだけ感染症が蔓延するリスクが高まります。予約システムを導入し、診療時間を指定することで待合室に多くの患者が滞留しないようにすることも対策の1つです。

システムの導入が難しい場合は、マスクや消毒液を用意しましょう。院内感染防止のために、という理由を伝え、患者様自身が気をつけて頂けるよう励行するべきです。 患者様はもちろん、診療所の外でもスタッフや職員はマスクをすることで飛沫感染を防ぎ、診療所内にインフルエンザを持ち込まないよう配慮しましょう。

手洗いはこまめに行い、特に休憩前後などは手洗い済のチェックを設けるのも良いかもしれません。アルコール消毒も併用しましょう。

スタッフや職員及び家族にインフルエンザなどの感染症の疑いがある時、院長は業務命令を出し、極力早く休みを取らせる事が望まれます。業務命令で職員を休ませる場合は、労働基準法の規定に則って処理する必要があります。

こうした、細かい対策を積み重ねることにより、院内感染を回避出来る様になることはもちろん、根本となる部分での意識共有にもつながっていきます。

大変手間のかかる事ではありますが、広い意味での診療所経営を見据え、積極的に進めていきましょう。

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