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ドクターサポート通信

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スタッフが労基署・労働局に駆け込んだら

「サービス残業」や「過重労働者」という単語を、耳にすることが多いかと思います。雇用関係に関するトラブルは、どの事業においても悩みの種の一つではないでしょうか。

クリニックにおいては、退職したスタッフが労働基準監督署へ申し出て、クリニックに監査が入ったり、労働基準監督署への出頭を命じたりするという事例が増加しつつあります。

例えば、試用期間中に解雇したスタッフがそれを不服とした時に、慰謝料の支払いをクリニックに求めるというケースがあります。

申し出がなされた場合の一般的な流れ

解雇処分や労働条件、職場環境などへの不満を相談する公的機関には「労働局」と「労働基準監督署」があります。労働局が扱うのは法令違反を伴わないケースで労働基準監督署が扱うのは、労働基準法違反の可能性が高い事例です。

スタッフが労働基準監督署に駆け込んでも、その原因に法令違反がなければ、労働局の窓口などを紹介されるでしょう。

また、労働局は、紛争の未然防止や、発生した紛争の解決を促すことを目的とした「個別労働紛争解決制度」に基づき、スタッフが希望する場合は助言・指導や、円満な解決に向けて斡旋を行う場合もあります。

この助言・指導は、労働局長がトラブルの問題点とその解決の方向性を、相談したスタッフやクリニックに対して示すことを指します。斡旋とは、「労働局」の斡旋委員が仲裁に入ること、つまり第三者による和解のサポートを指します。
(斡旋委員には、紛争調整委員会に所属する弁護士や学識経験者の中から3人指名されます)

そして、院長とスタッフ双方の主張を聞いた上で、妥協点を探り、両者にとっての円満な解決の道筋を探していく流れとなります。

また、スタッフが斡旋を申請した後に、クリニックが和解を拒否しても問題ありませんが、その場合、スタッフは、個人で加入できる外部の労働組合に相談したり、「労働審判制度」による民事訴訟を提起したりすることとなります。

これに対して、クリニックが斡旋を承認した場合は、指定された日時に院長(または代理人)と、スタッフが「労働局」に赴き、双方が斡旋委員に言い分を主張する必要があります。両者が合意したかどうかに関わらず、その日の内に手続きは完了することになります。

クリニック経営における労働基準法違反が判明した場合は、今度は「労働基準監督署」がクリニックに対して是正勧告を行うことになります。
この勧告に従わない場合は、労働基準法違反による刑事罰が適用される場合もあるので、クリニックでは速やかな対処が必要になります。

ここまで大きなトラブルとなることは稀かと思いますが、どのクリニックにおいても可能性はゼロではありません。加えて、自院においてトラブルの潜在的な要因があるのかどうかは、労務に関する専門的な知識が必要となるので、専門家も交えて一度就業規則の見直しをしましょう。

スタッフと院長の双方にとって働きやすい環境を整えるのが、来院する患者様のためにもなります。スタッフが不満を溜めこむ事がないよう、話をする機会を作るなどして、意思の疎通をはかれるようにしていきましょう。

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