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ドクターサポート通信

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診療所経営の難題

厚生労働省の統計によれば、65歳以上の高齢者人口は 2008年には 2,820万人でしたが、2025年には 3,635万人と急速に高齢化が進展し、30%近く増加すると予想されています。こうした背景の下、病院の平均在院日数の短縮化、診療報酬における在宅医療への高い評価などの政策誘導の影響を受け、在宅療養支援診療所の数が増え続けています。

在宅療養支援診療所の届出数は、制度創設の 2006年に 9,434件でしたが、2010年には12,487件となり 32.4%増となっています。また、在宅療養支援診病院の届出数は 2008年 7病院でしたが、在宅療養支援病院の要件が緩和されたため、2010年には 331病院と急速に増加しています。

診療所の数については、厚生労働省の統計「医療施設調査(動態調査)・病院報告」で、最近約 10年間の診療所の開設・再開(増加要因)、廃止・休止(減少要因)をチェックしたところ、微増傾向にあり、2010年 10月 1日現在の診療所の数は 99,824件でした。

しかし、有床診療所は約半数に減少しており、また医師の平均年齢は、2002年が 58.0歳、2010年が 58.3 歳で、若返り傾向は見られません。この様な医療業界の状況を考慮した上で、今年 4月に実施された、診療報酬改定の影響を在宅療養支援診療所に焦点を当て調べてみました。

超高齢化社会で多くの役割を担うことが期待されている在宅療養支援診療所の診療報酬は、在宅医療に手厚い配分で改定されました。このため、在宅医療に積極的な在宅療養支援診療所は大きな恩恵を受けることとなりました。具体的に対象となるのは、以下の条件を満たす「機能強化型」の在宅療養支援診療所です。

  • 在宅を担当する常勤医が 3人以上
  • 年間の緊急往診数が 5件以上
  • 年間の看取り数が 2件以上

また、単独の診療所で施設基準要件を満たすだけでなく、複数の診療所が連携して上記要件を満たす場合も認められていますが、その場合は、追加で以下の要件を満たすことも求められます。

  • 患者様からの緊急時の連絡先の一元化を行う
  • 患者様の診療情報の共有を図るため、連携医療機関間で月 1回以上の
    定期カンファレンスを実施
  • 連携する医療機関数は 10件未満

さらに、有床診療所(有床在宅療養支援診療所を含む)や在宅療養支援病院を連携対象に入れた場合、在宅時医学総合管理料などで算定要件を満たしていれば、より高点数を算定できます。その上、万一の場合の受け入れ先があることで、介護している家族からの安心感を得られ、ニーズの高いショートステイも紹介できる点も期待できます。

一方、(機能強化型でない)従来型の在宅療養支援診療所は、在宅患者様数の拡大確保(サービス付き高齢者向け住宅・大型の住宅型有料老人ホームとの連携、地域の他職種ネットワークの構築や往診依頼の増加を諮るなど)に向けた取り組みを行うことが必要となってきます。

診療所の機能が家庭医機能にあるならば、その一翼を担う在宅医療を目指し、ニーズの高い在宅での看取り医療や末期がんをはじめより幅広い患者様に手厚い在宅医療を提供できるように体制を整えることが大切です。

微増する診療所の中で、急増している在宅療養支援診療所経営の課題は、65歳以上の高齢者人口が増加してマーケットが安定しているとはいえ、看取りの場の確保など家庭医機能としての舵取り(経営方針や戦略)を誤ると在宅患者様が 1カ所に集まり、在宅療養支援診療所の二極化を生み出し、廃止・休止に追い込まれるという側面も併せ持っています。

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