整形外科の開業資金・自己資金・年収・失敗事例

整形外科クリニックの開業資金

土地、建物 約3,000万〜
内装 約5,000万〜
設備 約1,900万〜2,500万円
電子カルテ、レジスター、コピー複合機(家庭用)、診察用ベッド、X線撮影装置、DICOM(ダイコム)画像を見られる高精細モニターとPACS、画像読み取り装置(CR、DRシステム)、施術台・リハビリ機器 など
運転資金 約2,500万〜

テナント開業で1億〜1.5億、戸建て開業で2億〜2億5,000万円程度が開業資金の目安になります。


自己資金がなくても開業はできる?

上記の開業資金は、先生が全額自己資金として用意するものではございません。テナント開業であれば、自己資金0でも開業できます。

戸建て開業では、土地を借りる契約(事業用定期借地権契約)を結び、建物の建設や設備の準備を行う場合、自己資金は最低でも1,000万円程度が必要になることがあります。 ただし、信頼できる保証人がいる場合や、親が土地を用意してくれる場合には、自己資金がなくても開業が可能になるケースもあります。

詳しくは、開業に関するよくある質問Q&A「自己資金はどれぐらい準備する?」をご覧ください。

整形外科の収支(1カ月あたり)と年収

個人クリニックの収支(1カ月あたり)と年収

収益
診療報酬 約845万円
介護収益 3万円
経費
人件費  ※院長の収入は含みません 約293万円
医薬品費 約106万円
その他 約224万円
整形外科の1ヶ月あたりの収入(収益 - 経費)=  約225万円(年収:約2,700万円)

厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)−令和5年実施− p.150 を参考に集計


医療法人収支(1カ月あたり)と年収

収益
診療報酬 約1,237万円
介護収益 約52万円
経費
人件費    ※院長の収入も含みます 約717万円
医薬品費 約146万円
その他 約362万円
税引後の整形外科の1ヶ月あたりの収入(収益 - 経費)=  約64万円(年収:約768万円)
理事長先生と理事(奥様や成人したお子様)の報酬を引いた、残りの医療法人の収入です。

厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)−令和5年実施− p.162 を参考に集計

整形外科クリニック開業医の収入

整形外科開業医の申告所得は、専従者給与を支払った後でも2,000万円以上となるのが一般的です。

さらに、弊社クライアントの実質的な平均年収は5,000万円以上に達しています。
ただし、多くの場合、医療法人化を行うため、申告上の年収は低く計算されます。
この仕組みについて詳しく知りたい方は、「医療法人」についての解説をご覧いただくか、無料相談をご活用ください。

整形外科の開業のポイント

無駄な設備投資はしない

必要以上の設備を導入すると、開業費用が膨らみ、クリニック経営に負担がかかってしまいます。

例えば、ウォーターベッド型マッサージ機は、導入コストに対して、十分な収益を確保するのが難しい設備の一例です。

購入後も設置スペースを多く必要とし、それに伴う運営コストがかかってしまいます。 まずは、こうした設備を進める業者の提案をそのまま受け入れる前に、診療方針や採算性、地域性を慎重に検討することが重要です。 無駄な支出を抑えることで、より効率的な経営が可能になります。

「モノ」ではなく「ヒト」に投資する

整形外科の開業では、診療報酬体系を理解した開業戦略が重要です。 特に、運動器リハビリテーション料の仕組みを把握し、人材を最大限活用することが経営のカギとなります。

運動器リハビリテーション料

1単位(20分)ごとに以下の点数が算定されます。

  • 運動器リハビリテーション料(T):185点
  • 運動器リハビリテーション料(U):170点
  • 運動器リハビテーション料(V):85点
  • 算定期間:回復期の場合、150日を限度として算定できます(医師が回復の見込みを認めれば延長ができます)
  • 実施単位数:1日あたり従事者1人につき18単位(上限24単位)、週最大108単位

理学療法士への投資

理学療法士を雇うことで、リハビリを効率よく回しながら、患者の満足度を向上させるとともに、経営の安定化にもつなげることができます。 地域によって給与水準は異なりますが、1番高い東京でも十分に採算が合うように設定されています。

放射線技師の採用について

開業時点から放射線技師の採用を検討する医師もいらっしゃいますが、ある程度患者が安定的に来院するまでは必要ありません。放射線技師の給与は高めで開業時は業務量も少なく暇を持て余します。

開業時は医師中心で撮影を行い、開業前の研修で看護師にポジショニングを教えておくことや患者の着替えなど想定した動きを事前に行っておくことで効率的に対応できるようになります。

必要最低限の設備で

レントゲン、画像読み取り装置(CR、DRシステム)、DICOM(ダイコム)画像を見られる高精細モニターとPACS、骨密度計、電子カルテがあれば、あとは施術台を購入するぐらいでしょう。

また、広いリハビリスペースを確保することで、後ほど説明するみなし通所リハの導入も視野に入れた経営が可能になります。 リハビリ機器でスペースを埋めるのではなく、人材の活用を中心とした運営を目指しましょう。

レントゲン機器の天井走行式について

レントゲン機器を天井走行式にすることで上下左右のストロークが大きくなるので様々な撮影術式に対応できるようになります。また任意の角度で固定でき、複雑な角度の撮影も可能となるため医療スタッフや患者の負担軽減に繋がるため検査効率が上がります。

一般的な壁走行式と比較すると機器や工事費用の負担は増え、建物の状況によって設置できるかどうかという確認事項もありますが、一度導入すると入れ替えが難しい機器のため先を見越して検討するようにしましょう。

コンセプトに合わせた骨密度検査機器導入

クリニックのコンセプトに合わせ、骨密度検査機器の導入を検討しましょう。 骨密度検査は採算が取りやすい検査項目の一つです。

例えば、DEXA法による腰椎撮影では360点、同日に大腿骨の撮影も行う場合は、さらに90点(大腿骨同時撮影加算)加算されます。

このような診療報酬の仕組みは、骨粗しょう症予防が国の医療費削減にもつながっているため、大きく変更される可能性は低いと考えられます。 もちろん、一概に導入すべきというわけではありません。

高齢者をターゲットとした開業コンセプトで、骨粗しょう症予防の需要が見込める地域であれば、導入の価値は十分にありますが、若年層を対象にしたコンセプトの場合、骨密度検査の需要は少ないことが多いため、スポーツ整形外科など他の診療分野に重点を置く選択肢もあります。

導入を検討する際には、クリニックのコンセプトや地域のニーズとの整合性をしっかりと見極めることが重要です。

みなし通所リハとは

健康保険法の保険医療機関に指定された診療所は、介護保険法による医療系サービスの事業者として自動的に指定されます。この仕組みを「みなし指定」と呼びます。 みなし指定を活用することで、同じリハビリスペースを使用し、同じ理学療法士が運動器の通所リハビリテーションを行うことが可能になります。これが「みなし通所リハ」と呼ばれる制度です。

みなし通所リハを取り入れるかどうかは、整形外科クリニックの経営戦略における重要な選択肢となります。

みなし通所リハの特徴

リハビリテーションを受けられる期間に制限がない

医療保険の場合、必要に応じて150日を超えて運動器リハビリテーションを継続することができますが、その際、患者様1人当たりに算定できる単位数は月13単位までと制限されています。

一方、介護保険によるみなし通所リハビリテーションでは、利用者がリハビリテーションを受けられる期間に制限がありません。

理学療法士1人につき、10人のリハビリを同時に行うことができる

医療保険による運動器リハビリテーションでは、理学療法士1人が同時に複数の利用者にリハビリを提供することはできません。

これが介護保険によるみなし通所リハビリテーションになると、理学療法士1人につき最大10人の利用者のリハビリテーションを同時に行うことができます。

この場合、利用者1人につき3uのリハビリテーションスペースが必要とされます。 例えば、運動器リハビリテーションUを取得しており、理学療法士2人が在籍している場合は、60uのスペースが必要ということになります。

なお、医療保険のリハビリテーションと介護保険のリハビリテーションを同一スペースで実施している場合、みなし通所リハビリテーションの1回あたりの利用時間は2時間未満に制限されるため、注意が必要です。

医療保険から介護保険への移行を推進

今後、維持期リハビリテーションについては医療保険から介護保険へ移行する方向性が厚生労働省からも示されています。

したがって、みなし通所リハビリテーションを全く検討せずに、物理療法の医療機器を勧められるがまま購入すると、過大投資となり失敗を招く可能性があります。

整形外科の失敗事例

弊社が耳にした整形外科の失敗事例をご紹介します。 ある先生が駅前での開業にこだわり、駐車場の台数確保や駐車場からの距離を十分に考慮せず、業者の勧めるまま医療モールで開業したケースです。

その後、駅から離れた場所に30台分の駐車場を備えた整形外科が新たに開業しました。 この整形外科では、物理療法の医療機器はほとんど置かず、開業時から理学療法士を2名採用し、患者様にとって通院の便利さと治療効果の高さが評判となり、次第に人気を集めました。

一方、駅前の医療モールは駐車場の台数が少なく、さらに時間帯によっては駅前周辺で渋滞が発生することもありました。

足腰に不安を抱える高齢の患者様にとっては、通院しやすく、患者様ごとに理学療法士が担当するリハビリテーションを提供するクリニックの方が魅力的であり、多くの患者様が移ってしまったのです。 その結果、駅前の整形外科クリニックでは患者数が30%以上激減してしまったそうです。

整形外科で取得する施設基準

開業のコンセプトによって必要、不要なものがございます。

まずは弊社の無料相談へお越しください

整形外科クリニックの開業をお考えの先生で、自己資金や診療コンセプトの決定、物件の選定や事業計画書の作成など、お悩みや疑問がございましたら、まずは弊社の無料相談にお申し込みください。

弊社コンサルタントが先生のお悩みをお聞きし、適切なアドバイスをさせていただきます。

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<決定版>クリニック開業ガイダンスの重版決定

弊社代表の著書「<決定版>クリニック開業ガイダンス」は、2023年2月8日に発売いたしましたところ、おかげさまで重版が決定いたしました。

書籍の詳細ページはこちらからご覧ください


FPサービスで整形外科クリニックを開業された先生の声

前原 秀二 医師

まえはら整形外科クリニック
院長  前原 秀二 先生
(2020年東京都練馬区にて医院開業)

私は勤務医・特に脊椎外科医として、手術前後の患者様の診療に関わって参りました。
手術によって、患者さんの症状は楽になり、満足して頂くことができましたが、手術適応までには至らない方や手術を躊躇される方も多くありました。...続きを読む

加藤 仲幸 医師

北戸田ナノ整形外科クリニック
院長  加藤 仲幸 先生
(2019年埼玉県戸田市にて医院開業)

私は、整形外科の中でも脊椎外科医として、脊椎手術ばかりしていたこともあり、当初、開業することは、あまり考えていませんでした。...続きを読む

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